ホームに戻る
情報コンテンツ

「水屋」はピンハネ? 存在意義はあるのか

更新:
「水屋」はピンハネ? 存在意義はあるのか - 画像 1
1 / 2
画像

よくSNSや匿名掲示板サイトで「水屋はピンハネ、要らない」「水屋が運賃の水準を下げている」などの投稿を見ますよね。果たして、本当にそうなのでしょうか?このコラムでは、本当に水屋はピンハネなのか?、存在意義はあるのか?、その水屋は本物の仕事ができているのか?、どうしてピンハネだと言われるのか?、などについて、実例にそって詳しく説明していきます。

水屋とは

①社寺で参詣人が口をすすぎ手を洗い清める所。

②茶室に付属する台所のような所。

冗談です。運送業界でいう水屋とは、貨物利用運送事業(第一種貨物利用運送事業)のことです。

利用運送とは?

他者からの運送依頼に応じるため、自らが運送責任を負って運賃及び料金を収受し、他の実運送事業者を利用して行う貨物運送のことをいいます。

【参考】国土交通省:貨物利用運送事業について

車両を持たずに利用運送を専門に行う事業者を「専業水屋」と言う人たちがいます。また、本社はトラックを持っていても、営業所の多くは利用運送を行っているような事業者のことも、水屋と呼ばれているようです。

水屋はピンハネ?

よくSNSや匿名掲示板サイトでこんな投稿を見ますよね。

「水屋がいるから運賃が下がる」

「水屋はただのピンハネ、要らない」

「水屋はノーリスクでいいご身分ですね」

こんな風に「ピンハネだ」扱いするのは、次のようなときだと考えられます。

・安い運賃を提示されたとき

・割に合わない仕事を言われたとき

・トラブルに対して無責任なとき

では、これらを踏まえて水屋の存在意義から詳しく説明していきます。

水屋の存在意義

とにかく、運賃が極端に安くて、条件が悪い荷物を出すからでしょうね。さらに水屋の「右から左へ」のイメージは「水屋(だけ)がピンハネしてる!」と罵られる理由になっています。だからといって、すべての水屋がピンハネと罵られなければならないような存在なのでしょうか?きっとそんなことはないと思います。いい運賃の荷物を出してくれる水屋さんや、困ったときに親身になってくれる水屋さんがきっといます。とんでもないことをされて頭にくるのも分かりますが、ちょっと冷静に考えてみるといいかもしれませんね。

そもそも、ピンハネは悪いことなんでしょうか?中間マージンをとって外注することがダメだって言うんなら、水屋にかぎらず実運(トラックを持っている運送会社)だって傭車しちゃダメってことになります。この業界で生き残るには、「運ぶトラック」を常に提供することで、荷主の信頼を勝ち取り、多くの仕事を手にする必要があります。トラックをまわしてほしい荷主さんにとって、相手は実運だろうが水屋だろうが関係ありません。緊急オーダー時も、いつもより出荷量が多い日も、いつでもトラックをまわしてくれる会社が一番好きなんです。

では、空車を抱えてこまっている実運さんが、「荷物をもっている会社」を探し求めていたとします。この場合、実運さんもさっきの荷主さんの例とおなじように、相手が水屋だろうが実運だろうが関係なく、空車で困っているときに荷物をくれる相手のことを一番好みます。ということは、どんなときでも「運ぶトラック」や「荷物」を提供する、ということが水屋の存在意義だっていうことなんです。よくよく考えてみると、トラックを持っているか持っていないか、ほんの少しの違いしかなく、実運も水屋も「運ぶサービス」を荷主に提供しているという点では同じっていう事なのかもしれませんね。

運賃が安いから...

トラックがいる実運さんは運行管理など大変な業務をこなしながら「運ぶトラック」を提供しています。だから水屋の仕事が楽に見え、面白くないことがあると、つい「ピンハネだ」と言ってしまうんじゃないでしょうか。だったら水屋はそんなふうに言われないようにトラックの手配に必要な知識と情報をもって、信頼されるような仕事をしなければなりませんね。

とりあえず、水屋の存在自体や中間マージンをとることが悪いんじゃないってことは分かりましたが、「どうせ帰り車でしょ?」とか「仕事があるだけマシなんだから文句言うなよ!」という態度をとる一部の水屋がいる限り、「ピンハネ」あつかいは無くならないんじゃないかと筆者は思っています。だから、水屋さんは「ピンハネ」「存在意義がない」と言われないように、態度に気を付けながら、極端に安い荷物を出さないようした方がいいですね。もう少し言わせてもらえるなら、自分たちも荷主から安く受注しないようにしたほうがいいと思います。受注を勝ち取るのに「安売り」は簡単な方法ですが、「水屋が運賃水準を下げている」と悪口を言われたくないのであればやめた方がいいですね。

貨物トラック業界で生き残るには、自社トラックが走っても、傭車が走っても、しっかりと利益が出せる運賃が必要だと思うんですね。もともと安くもらっている荷物なのに大きくハネようとすると、ピンハネって呼ばれる羽目になります。だからって、無理して高く払おうとすると利益が出なくなって、会社が苦しくなっちゃいます。むやみやたらに安売りセールするのではなく、日頃からしっかりと運賃をもらっておいたほうがいいと筆者は思っています。

まとめ

水屋はピンハネと呼ばれやすいです。しかし実運でも日頃の行いが悪ければピンハネと呼ばれてしまいます。ポイントは「サービスの安売り」をしないこと。しっかり取って利益を出し、外注するときはしっかり払う。そうすれば実運だろうが、水屋だろうが、ピンハネなんて呼ばれません。